海洋新総帥

ただのブログ。

ニホンミツバチとセイヨウミツバチの蜂球について

 

 

2012年

news.mynavi.jp

ミツバチというと一般的には「刺す」虫というイメージを持つ方が多いはずだ。しかしながら、小野教授らは1995年に、日本在来種のミツバチであるニホンミツバチは、天敵である「オオスズメバチ」が巣内に侵入すると、数100匹の働き蜂がスズメバチに一斉に殺到し「蜂球(ほうきゅう)」と呼ばれる集団を形成し、刺すのではなく、飛翔筋を震わせ、発熱してオオスズメバチを「蒸し殺す」ことを発見した。

この時、蜂球内の温度は46~47℃という高温になるが、オオスズメバチの上限致死温度(約45℃)がニホンミツバチ(約49℃)に比べて若干低いため、オオスズメバチは蒸し殺されてしまうのである。

この熱殺蜂球形成は、西欧原産の「セイヨウミツバチ」では見られないことから、東アジアに棲息するオオスズメバチの存在という「淘汰圧」のもとに、ニホンミツバチが独自に獲得した防衛行動と考えられてきた。

 

natgeo.nikkeibp.co.jp ニホンミツバチが風変わりな防衛戦略を発達させたのは、彼らの持つ小さな毒針では、体長5センチにも達するオオスズメバチの分厚い外骨格を刺し貫けないためだ。ミツバチが大勢集まって筋肉を震わせると熱が生じ、その熱が捕食者を蒸し殺す。

 これに対し、アメリカやヨーロッパに多く見られるセイヨウミツバチの巣は、スズメバチの容赦ない攻撃に対して無防備だと研究チームは述べている。

スズメバチが巣を襲えば、(セイヨウ)ミツバチには勝ち目がない。相手に針が刺さらないのだ。スズメバチによって巣は全滅させられる」とアリゾナ大学の神経科学者であるウルフィ・グローネンバーグ(Wulfi Gronenberg)氏は話す。同氏は今回の研究には参加していない。

 

2013年

https://www.jstage.jst.go.jp/article/hikakuseiriseika/30/2/30_68/_pdf/-char/ja

捕食者スズメバチに対するニホンミツバチの防衛行動 −蜂球内でのスズメバチの死の原因解明−

 

はじめに

 ニホンミツバチが,捕食者であるスズメバチ蜂球に閉じ込め殺す仕組みを明らかにした。スズメバチ蜂球に捕 捉されると,蜂球内では温度だけでなく湿度も急速に上昇 する。5分後には温度は 46°Cに,湿度は 90%以上になる。 この時,蜂球内の炭酸ガス濃度は4%に達する。多くのス ズメバチは,蜂球内では 10 分で死ぬ。スズメバチの死をも たらす要因を,蜂球内の湿度と CO2 濃度を変え致死温度を 測定することで考察した。実験に使用した4種のスズメバ チのいずれにおいても,CO2 濃度3.7%(ヒトの呼気環境) では,2°C以上も致死温度が低下した。相対湿度が 90%以 上になると,さらに致死温度が低下した。ヒトの呼気環境 中では,大気中に比べ CO2 は増加し酸素は減少するが,酸 素を補っても致死温度は変わらなかった。ニホンミツバチ は,蜂球中のスズメバチを酸素欠乏によって窒息死させる のでなく,高温,高湿,高濃度の CO2,の環境中でスズメ バチの致死温度を下げることで殺していると考えられた。

 

2017年

ntv.co.jp

 スズメバチから自分たちの力で巣を守ったセイヨウミツバチ。でも、どうやってスズメバチを倒したのでしょうか?養蜂プロジェクトをサポートしてくれている玉川大学の小野正人教授によると「蜂球」行動とのこと。蜂球行動とは、天敵のスズメバチをミツバチが集団で囲み込み、殺す防衛行動。

 実は、とっても貴重な映像だというんです。そもそも蜂球行動はニホンミツバチでは見られることがありますがセイヨウミツバチでは珍しく、さらにセイヨウミツバチの蜂球のメカニズムは、今年3月、ようやくその詳細が解明されたばかり!ニホンミツバチの場合、蜂球行動のメカニズムはスズメバチにミツバチが集団で抱きつき、体を震わせて発熱、スズメバチのいる中心温度を47度以上にします。スズメバチは46度までしか耐えられないので熱で蒸し殺されるんです。一方、解明されたばかりのセイヨウミツバチの蜂球行動の場合、蜂球の中心温度は44度程度しか上がらず、その温度ではスズメバチを蒸し殺しにはできません。

 しかし、二ホンミツバチと違い、セイヨウミツバチは命がけでスズメバチを針で刺そうとします。針で襲われたスズメバチは暴れて興奮。するとその興奮でスズメバチの体温が上昇、限界の46度を超えてしまい、死んでしまうんです。

 

2020年

natgeo.nikkeibp.co.jp

 襲ってきたのはスズメバチだ。1対1なら、セイヨウミツバチはモンスズメバチの相手ではない。体長が4センチにも達するスズメバチは、その強力な顎で自分より小さな昆虫をいとも簡単にかみ殺してしまう。

 スズメバチの猛攻に、最初の数日間、ミツバチはなすすべがないようだった。「スズメバチの襲撃がこのまま続けば、わが家のミツバチは全滅してしまうと思いました」。ドイツ南部のランゲンにある自宅の庭でミツバチを飼っている写真家のインゴ・アーントはそう語る。

 ところが1週間もすると、巣の入り口近くにミツバチが群れ集まり、防御線を敷くようになった。そしてスズメバチが近づくと、数匹のミツバチがまず飛んでいってタックルし、その後間髪を入れず、多くのミツバチがスズメバチに群がっていった。「蜂球(ほうきゅう)」と呼ばれる行動だ。